急に思い立って、社会人が修士を受けた話(一般受験RTA)
早稲田の情報理工の修士(一般受験)に受かったので、2023年4月から働きながら学生もやることになりました。
出願RTAを含めてまあまあ稀有な体験をしたので、衝動的に大学院に行きたくなった後世の人のためにスケジュール感と注意点を書き残しておきます。
だいたいエンジニア向け。
TL; DR
- スケジュール感
- 出願締切の14日前に思い立ったところ、少し余裕を持って出願できました。
- 少しでも院に行きたいと感じた日に、まずTOEFL の受験を申し込みましょう。受験までに2日から1週間、その後スコアの開示までに4-8日はかかります。
- できるだけ早く教授に連絡を取り、研究室を見学しに行きましょう。(教授と仲良くなっておくのは非常に重要です。)
- 専門科目だけであれば、出願後の1ヶ月間に仕事の後で学習すれば何とかなります。
- 受けてないですが、東大の院は一般教養の数学までやる必要があります。出願前にも1-2ヶ月くらい学習する時間があると良いと思います。
- 出願締切の14日前に思い立ったところ、少し余裕を持って出願できました。
- 注意点
前提条件
- 普段の仕事: ソフトウェア開発エンジニア
- 経済学士(19年卒)
- GPA は1.67で、だいぶ低いです。
- 学部で多少 CS 関連の単位を取っており、それらは全てGPA3か4の評価でした。
- 経済学だけのGPAどんだけ低いんだ...
出願を考え始めた時期と理由
時期:2022年5月末。
そろそろ転職して給料爆上げしたいなと思って探し始めましたが、まともな求人は軒並み CS の学位が Must 条件だったので出願を決意しました。
出願対象の選定
ソフトウェア工学を取り扱っていそうな研究科で、手の届きそうなところを探しました。
検討したのは、以下の2つです。
- 東京大学大学院 情報理工学系研究科 コンピュータ科学専攻
- つよそう。
- 6月9日 出願締切、8月4日と5日 選考
- 早稲田大学大学院 基幹理工学研究科 情報理工専攻
- 母校。すき。
- 6月10日 出願締切、7月16日と17日 選考
どちらも6月第1週の締切でかなりギリギリでしたが、最速でTOEFLさえ受ければ間に合う日程でした。
結局、
- 試験範囲
- 早稲田の方が一般教養の数学がない分簡単そうだった
- 教授とのコネ
- 知り合いの知り合いな教授がいて、取っ掛かりを作りやすかった
- 卒業の大変さ
- 働きながら修士の学位を取る予定なので、あまり大変な環境に行くと何年かかるかわからない
の3点の理由で、早稲田に出願することにしました。
日記
2022年5月27日(木) 外国人とおしゃべり
そろそろ転職しようかと思ってLinkedInで連絡してきた方とお話してみましたが、まともそうな求人は軒並み CS の学位が Must 条件でした。
大学院に行きたくなりました。
2022年5月28日(土) 出願を決意
マッチングアプリで出会った人と昼に水族館に行ってきましたが、そんなに好きでもない人間と会って話すより勉強したいと改めて感じたので、お別れして院試に集中できる体制を作りました。
その日の夜に修士のプロ(3周くらい修士課程をやっているはず)であるところの 多動卿 @mouroutai の家に押しかけさせていただいて、
TOEFL の申し込みと出願候補校の出願・試験スケジュールを確認しました。
ついでに参考書まで借りてきました。圧倒的感謝🙏🙏🙏
5月29日(日)
ねじを買ってきて、明日のTOEFLに備えました。
オンサイト版のTOEFLは1週間後くらいにしか受けられず、出願に間に合わないリスクが高かったので Home Edition で受験しました。翌々日には受けられて神です。
家で試験を受けるには机を片付ける必要がありますが、普段使っている机の上を片付けるのは不可能なので、折りたたみの机を引っ張り出してきました。
すると、ボルトがどこかに行っていたので、買いに行く必要がありました。
調べると、秋葉原の「西川電子部品」さんが色々なネジを取り扱っているとのことだったので、机の脚を1つ持って出かけました。
最高にちょうどいい袋があったおかげで職質は回避できそう。
— らぎゅ (@lagyu_piyo) 2022年5月29日
ありがとうポケモンセンター pic.twitter.com/7XsVAcUbOX
店員さんに相談すると実際に試しながら5分くらいで完璧なネジを探し当てることができ、無事購入することができました。
価格も1本30円くらいで、想像よりだいぶ安く済みました。
パンクしていた自転車を修理に出し、電車で秋葉原に行きネジを買った後で自転車を回収する完璧な立ち回りができてとても気持ちよかったです。
帰宅してからは、TOEFL公式の模擬テスト を受けて、明日の試験に備えて20時ごろ就寝しました。
5月30日(月) TOEFL受験
いつもの如く9時から仕事なので、朝3時すぎに起きて試験を受けました。
かなり長丁場で色々トラブルはありましたが、何とか完了することができました。
6月2日(木) 研究室見学
先週の土曜日にメールして教授にアポを取っていたので、この日の夕方にゼミを見学させていただきました。
かなり歓迎してもらえて、研究室の皆様とも色々話せてとても楽しかったです。
具体的にどんな研究をしていきたいかの目星もつけることができたので、教授に出願するのでよろしく〜、とメールしておきました。
6月7日(火) 出願
6日の午前中にTOEFLの結果が出たので、余裕を持って7日に出願できました。
勉強がんばりましょう!
6月中頃まで
とりあえず離散数学分野の知識が全然なかったので、参考書を1冊読みました。
多動卿おすすめのこの本はかなりいい感じでした。
また、仕事終わってから過去問をぼちぼち解いていきました。
職場では受かった時に便宜を図ってもらえるように、部課長に対して話をしておきました。
最近弊社では、従業員のリカレントを推進している(多分中年層の社員に対してでしょうけれども)こともあり、割とすんなり受け入れてもらうことができました。
6月後半〜7月中頃まで 仕事が忙しい
6月から始まっていた案件がいよいよ忙しくなり、勉強する時間をあまり取れなくなってしまいました。
こういう忙しい時にも頑張る気力が欲しいところですが無いものねだり。。
結局、
- 試験前週の土日でパワポ作成
- 7月13日(水)〜15日(金)で過去問4年分を復習
って感じで試験に臨むことになりました。
7月15日 試験1日目
1日目は筆記試験でした。
大問1 の「ハノイの塔」の問題を完答でき、それ以外も割といい感じでした。
電気回路は白紙、論理回路もXORの回路記号がわからなくて変な記号で書いた気がしますが、それ以外は割と人間並の回答を書けました。
かなり上振れした気がします。
7月15日 試験2日目
2日目は面接でした。
担当教授を含めた4人の面接官とお話ししました。
持ってきたパワポで研究計画を説明し、その後質疑応答という流れでした。
プレゼンでは、「開発現場での実務経験を活かした視点!」とか、「業務で鍛えた実装力!」とかでアピールしながら研究計画を話しました。
パワポやプレゼンの構成を考える上では、以下が参考になりました。
質疑応答では、「仕事しながら研究、大丈夫?」みたいな質問をされましたが、「頑張ります!」で押し通しました。
試験が終わった後で、しおん君たちと温泉に行きました。とても気持ちよかったです。
7月29日 合格発表
なんか受かっていました。
上振れ最高!
まとめ
というわけで、大学院受験 RTA に際しては、
- 出願で一番日程がシビアなのは英語の試験です。
- 学習は、意外と何とかなります。
- 専門科目は、範囲が狭いです。
- 寄り道も大事。
- 過去問やった時に漸化式の考え方を思い出しておいたり、ハノイの塔のWebアプリで遊んでいたのが本番でも生きました。
- 寄り道も大事。
- 一般教養も、追加で数ヶ月あれば対策できる程度の範囲です。
- 専門科目は、範囲が狭いです。
- 文系学部卒でGPAが1.6台でも、実務経験がマッチすれば入れてくれます。
- 実装力は重要だと思います。少なくとも何かしら研究室に貢献してくれそう、と思ってもらえれば入れてもらえる可能性が上がるかと思います。
という感じの気づきを得ることができました。
というわけで、みなさんもぜひ軽率に大学院を受験してみましょう!
ご質問などあれば、いつでもこのブログや Twitter @lagyu_piyo にコメントください。
ご拝読ありがとうございました。